健康講座

生活習慣病とは

生活習慣病とは、『食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する疾患群』(1996年12月、公衆衛生審議会)とされています。
 
日本人の死亡原因の半分近くは循環器病すなわち脳卒中(脳梗塞や脳出血)と心臓病(心不全や心筋梗塞)であり、これらの病気の発症には動脈硬化が深く関係しています。動脈硬化の原因となり、増悪させる危険因子こそが生活習慣病なのです。
 
年齢が進むにつれて、脳や心臓や腎臓などの大切な臓器の血管にコレステロールなどの脂質が沈着します。血管は次第に硬くなり、血栓ができたり出血し易い動脈硬化の状態になっていきます。動脈硬化を進行させる危険因子や原因には、どんなに頑張っても改善できないものと、心がけ次第では改善したり、予防したりできるものがあります。
 
生活習慣病は食生活、嗜好品、運動習慣などの生活習慣をよりよく変えることで、自ら治療することのできる病気です。つまり、循環器病の原因である動脈硬化の進行を自ら、食い止めることができます。
 
<動脈硬化の危険因子>
〇変えようのないもの:年齢、性別(男性)、遺伝(家族歴)
〇心がけ次第で変わるもの:
 生活習慣因子⇒ 食生活、喫煙、運動不足、ストレス
 生活習慣病 ⇒ 高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満
 
高度成長期を経て、日本人の食習慣は欧米化の一途をたどり、慢性的な運動不足、増え続ける社会的・心理的ストレスなどの不適切な生活習慣因子は、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病の発症にますます拍車をかけてきました。
 
最近、内臓脂肪の増加を基盤としてこれら四つの生活習慣病が合併したメタボリックシンドロームは、動脈硬化を介して脳卒中(特に脳梗塞)と心臓病(特に心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患)の発症率を跳ね上げることが判明しました。
 
ですから、生活習慣の改善によってメタボリックシンドロームを自ら治療すれば、脳血管障害や心臓病の発症を予防することが期待されます。

高血圧症とは (高血圧治療ガイドライン2009に準拠)

異なる日に何回血圧を測っても、常に安静時の血圧が140/90以上の時に高血圧症と診断されます。予防法と治療法の第一は、何といっても以下の6項目に示した生活習慣の改善です。
 
1. 減塩: 日本人の塩分摂取量は一日11g程度 → 目標6g未満に制限。
2. 野菜・果物の積極的摂取と、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限。
3. 節酒: エタノール換算で男性30ml/日、女性20ml/日以下に。
4. 減量:BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が25未満を目標に。
5. 運動:一日30分以上、にこにこペースのてくてく歩行を。
6. 禁煙:心血管病の強力なリスクなので受動喫煙を含む喫煙の防止。
 
自覚症状がないといって高血圧を放置しておくと、脳卒中や心臓病の発症リスクが増えることがわかっています。3ヶ月以上、生活習慣の改善を行なっても、血圧が140/90以上ならば、脳卒中や心臓病の予防のために降圧薬による治療が必要です。糖尿病を合併している場合、他の心血管病の危険因子を持ち、血圧が160/100の場合は、直ちに降圧薬による治療が必要となります。
 

【食事療法のポイント】
 1.塩分の制限が第一
  高血圧の方は塩分摂取量一日6g以下を目標に制限する。
  包装食品の多くはNa表示【 Na量(g)×2.5=食塩量(g)】
 
2.肥満者はカロリー制限を心がける
  女性では間食を、男性ではアルコール摂取を制限する。
 
3.蛋白質は過不足なく
  蛋白質は血管を保護し、塩分の排泄を促す。
  魚介類に含まれるタウリンは血圧を下げる作用がある。
 
4.積極的にとると血圧を下げる作用がある食事
  多価不飽和脂肪酸の多い植物油や、魚油
  カリウム(野菜や果物)やカルシウム(牛乳、乳製品、小魚など)
  食物繊維の多い海草類や緑黄野菜(注:腎臓病ではカリウム制限)

高脂血症(脂質異常症)とは

朝の空腹時の採血で、LDL(悪玉)コレステロール値が140mg/dl以上、またはHDL(善玉)コレステロール値が40mg/dl未満、または、中性脂肪値が150mg/dl以上の時、高脂血症(脂質異常症)と診断されます。
 高脂血症(脂質異常症)を治療するためには食生活習慣の改善がもっとも重要です。また、運動不足の人や、肥満、高血圧、糖尿病などの他の生活習慣病を合併する場合は、あわせて運動療法を行なうことも重要です。
 食生活を十分に改善し、適度な運動を継続してもLDLコレステロール値が140mg/dlを超える場合は、コレステロールをさげる薬を服用する必要があります。
 
【食事療法のポイント】
 1.コレステロールの高い人は...
 動物性脂肪を制限し、コレステロール摂取を1日300mg以下にする
 卵類、内臓を含む魚貝類や干物、エビ、カニ、イカ類は少し控える
 食物繊維(野菜・豆類・きのこ類・海藻)を充分に摂取する
 
2.中性脂肪の高い人は...
 摂取エネルギーは糖尿病に準じて 標準体重kg×(20~30)kcal に制限
 アルコール摂取や甘い物の食べすぎは中性脂肪を増やすので注意

肥満について

肥満は、過剰なカロリー摂取(食べ過ぎ)を中心とする不適切な食生活習慣と、不十分なカロリー消費(運動不足)によって生じる一種の病気です。
 
肥満の恐ろしさは、これが生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)と合併し易く、虚血性心疾患の原因や増悪因子となることです。
 
肥満には、
 
☆内臓脂肪型肥満(いわゆるビール腹。中年男性に多い)
☆皮下脂肪型肥満(健康女性に多い)
 
以上の二種類があり、前者が動脈硬化の進展に深く関わります。
 
肥満度(BMI)=(体重kg÷身長m÷身長m)が25以上なら肥満、
特に、ウエスト(臍周りの腹囲)が男性85cm以上、女性90cm以上なら内臓脂肪型肥満ですので、血管病の危険が高く、食事療法と運動療法が不可欠です。

メタボリックシンドローム

内臓脂肪型肥満
  ウエスト周囲径(臍周り):男性 85cm以上・女性 90cm以上
 
かつ、以下の2項目以上
  高血圧(130/85mmHg以上)
  高血糖(空腹時血糖110mg/dl以上)
  脂質異常(中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)
 
平成16年度の死因別死亡割合では生活習慣病(メタボリックシンドローム)の占める割合が61%に達しています。メタボリックシンドロームを早期発見し、予防・治療するため、平成20年4月より特定健診がはじまりました。
 
宝塚市の特定健診、後期高齢者健診は当院でも実施しております。

糖尿病について

よく喉が渇き水分をよく摂り、夜中にもよくトイレに行く状態(多飲多尿)があり、空腹時血糖が126mg/dl以上、または随時血糖が200mg/dl以上ならば糖尿病と考えられます。
 
また、症状がなくともブドウ糖負荷試験で上記の血糖値を示せば、やはり糖尿病と診断されます。糖尿病は、太い血管の動脈硬化以外に、細小血管を傷害して失明(糖尿病性網膜症)や腎不全(尿病性腎症)を引き起こす恐ろしい病気です。ですから、とりわけ早期発見と早期治療が必要です。
 
やはり、過食や運動不足などの生活習慣因子によって、肥満や糖尿病準備状態が起こってくることから、これら生活習慣の改善が予防と治療の基本になります。
 
【食事療法のポイント】
 
1.適正なエネルギーの摂取量を決めて、一日摂取総カロリーを制限する
  ①標準体重kgを決める。 標準体重=(身長m×身長m)×22
  ②生活活動強度kcalを決める
    軽い…20~25kcal/標準体重kg
    中等度…25~30kcal/標準体重kg
    やや重い…30~35kcal/標準体重kg
  ③摂取エネルギー量=標準体重kg×生活活動強度kcal
    一般に1日男性=1400~1800kcal,1日女性=1200~1600kcal
2.三大栄養素のバランスを保つ―――蛋白質15%、脂肪25%、糖質60%
3.ビタミン、ミネラル、食物繊維は十分に
4.欠食しないで1日3回、規則正しく、ゆっくりよく噛んで
  ・一回量を減らし一食の負担を軽くする方がインスリンの需要量が減る。
  ・むしろ食事回数は多くして、果物や牛乳を間食にまわすと良い。

生活習慣病と関連するその他の病気について

”老年期認知症”
  ・若い頃からの精神・運動不活発
 
"胃潰瘍と胃炎、過敏性大腸症候群と炎症性腸疾患"
  ・ストレス
 
"脂肪肝・アルコール性肝障害や肝硬変"
  ・アルコール多飲
 
"肺癌"
  ・喫煙
 
"アレルギー疾患"
  ・家屋の生活様式・周辺の生活環境


虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

① 狭心症
  心臓を養っている冠状動脈の血流が不足して胸の痛みを生じる病気
 
  ・労作性狭心症――労作や運動によって起こる
    (動脈硬化による冠動脈の狭窄が原因のことが多い)
  ・安静時狭心症――安静時や睡眠中、起床時に起こる
    (冠動脈の攣縮、痙攣が原因のことが多い)
 
② 心筋梗塞
  冠動脈が血栓などで完全につまり、心筋が壊死し胸の激痛を来す病気
 
  ・合併症  *心臓破裂:残念ながらまず急死する
        *不整脈:ペースメーカー挿入、電気ショックなどで救命
        *心不全:呼吸困難、むくみ、動悸で日常生活が制限
 
虚血性心臓病に似た胸痛を起こす病気
 
 ① 解離性大動脈瘤:最も太い胸の大動脈の壁が裂けていく病気
 ② 肺梗塞・肺塞栓:肺動脈に血栓がつまって心臓に重い負担をかける病気
 ③ 急性心膜炎:心臓を被っている膜に炎症が起こり、水や膿が貯まる病気
 
心臓に無関係な胸痛を起こす病気
 
 ① 肋間神経痛:キューと針で刺すような瞬間的な鋭い痛み。
 ② 帯状疱疹:左右どちらかの肋骨にそった痛がゆい湿疹。
 ③ 筋肉痛:筋肉のだる痛さでマッサージすると気持ちよい。
 ④ 乳腺炎:乳房の一部に発赤、痛みを伴うしこり。
 ⑤ 自然気胸:やせ型の人に突然起こる息苦しさと鈍い胸痛。
 ⑥ 食道炎:食前、食後に生じる焼けるようなみぞおちの痛み。
 ⑦ 胆石、胃潰瘍、膵炎など:腹の病気もまれに胸痛として感じる。